先週末、街を歩いてた時のことなんだけどさ。夕方くらいで、人通りも少し落ち着いてきた時間帯。ふと見上げたら、向こうから歩いてくる女の子が目に入ったんだ。ショートカットの髪が風に揺れてて、白いワンピースがなんか柔らかく光を反射してた。別に派手じゃないんだけど、その自然な感じが妙に印象に残ってさ。
ちょっとドキドキしながら、どうしようかなって迷ったんだよね。声かけるか、かけないか。頭の中でぐるぐる考えてたけど、結局「この瞬間逃したら後悔するな」って思って、勇気出して近づいてみた。距離が縮まるにつれて、彼女の顔がちゃんと見えてきて。笑顔じゃないけど、穏やかな表情してて、なんか癒される感じだった。
「すみません、ちょっとお時間いいですか?」って声かけたら、彼女、少しびっくりしたみたいで一瞬立ち止まってこっちを見た。目が合うと、意外と柔らかい瞳でさ。緊張してた自分がちょっと落ち着いた瞬間だった。「あの、急にすみません。なんか、すごく雰囲気のある人だなって思って、つい声かけちゃいました」って正直に言ってみたんだ。
そしたら彼女、軽く首をかしげて「え、私ですか?」って。声が思ったより低めで、落ち着いてて、なんか心地よかった。「うん、そう。なんか、通り過ぎるの勿体無いなって思っちゃって」って返したら、彼女、クスッて小さく笑ってくれた。そこから少しだけ話したんだよね。近くのカフェでバイトしてるらしくて、シフト終わりに散歩がてら歩いてただけだって。特別な目的もない、ただの日常の一コマだったみたい。
結局、連絡先交換まではいかなかったけど、「またどこかで会えたらいいね」って言ったら、彼女も「うん、そうだね」って微笑んでくれてさ。そのまま別れた後、なんか心がふわっと軽くなったんだ。失敗でも成功でもない、ただ優しい一瞬だったなって思う。あの子の穏やかな空気感が、街の喧騒の中でちょっとした宝物みたいに感じられたよ。
こういう出会いって、ナンパって呼ぶには柔らかすぎるのかもしれないけど、たまにはこんな瞬間があってもいいよね。街ってさ、意外と温かい一面を見せてくれる瞬間があるんだなって、改めて感じた話。