夜の街を歩いていると、どこかで聞いたようなネオンの音が耳に残る。昨日もそんな気分で、いつものウェブカムサイトを開いた。画面越しに見える彼女たちの笑顔や仕草は、まるで新宿の路地裏で偶然出会った子と話しているような錯覚を覚える。今回の話は、ドネート一発で心を掴んだあの夜のことだ。
その日は特に何も予定がなくて、ただサイトを眺めていた。いつもの子がオンラインだったから、少し覗いてみることにした。彼女は淡いピンクのライトに照らされて、静かに何か話していた。コメント欄はそこまで賑わっていなくて、なんとなく落ち着いた空気が流れていた。そんな時、ふと「ドネートしてみようかな」と思った。理由は自分でもよくわからない。ただ、その場の雰囲気に流されただけかもしれない。
金額はそんなに大きくなかった。500円くらいだったと思う。でも、メッセージ欄に「夜の街を歩いてたら、君の声が聞こえてきた気がしたよ」と打って送信した。ありきたりかもしれないけど、その瞬間を切り取った気持ちをそのまま伝えたかった。すると、彼女が一瞬目を丸くして、それから小さく笑った。画面越しでも、その表情がリアルに感じられた。
「え、なんか素敵なこと言ってくれるね。ありがとう」と彼女が返してきた。そこから会話が一気に弾んだ。普段はコメントに埋もれて流れていくだけなのに、その日は違った。彼女が僕のメッセージを拾って、夜の街の話に絡めて返してくれた。まるで二人で歌舞伎町の雑踏を抜けて、隠れ家的なバーで話しているような気分になった。ドネートの効果って金額じゃないんだな、とその時思った。タイミングと一言が、デジタルな距離を一気に縮めてくれる。
結局、その日は1時間くらい話し込んでしまった。彼女が「次はもっと夜の街っぽい雰囲気で配信してみようかな」と言ってくれたのが印象に残ってる。ドネート自体は些細なものだったけど、あの夜の空気感を共有できたことが何より面白かった。ウェブカムって、画面越しでもちゃんと人と繋がれるんだなって、改めて実感した瞬間だった。