夜の静寂にキーボードの音だけが響く。ウェブカムの画面越しに、彼女の笑顔が揺れていた。あの夜、僕はまた一つ、失敗という名の授業を受けた。
スレッドのタイトル通り、ウェブカムの出会いでつまずいた話をしようと思う。相手は、プロフィールに「音楽と夜景が好き」と書いていた子だった。チャットのやりとりはスムーズで、彼女の言葉にはどこか詩的な響きがあった。画面越しの彼女は、まるで映画のワンシーンのように魅力的だった。僕はその雰囲気に飲み込まれ、すぐに「これは特別な出会いだ」と感じてしまった。そこが、最初の過ちだった。
ビデオチャットに移ったとき、彼女は少し緊張しているようだった。僕も同じだったけど、なんとか会話を盛り上げようと、彼女の好きな音楽や夜景の話を振ってみた。でも、どこか噛み合わない。彼女の返事は短く、僕が投げかけた話題はすぐに霧散してしまう。焦った僕は、もっと彼女の心をつかもうと、どんどん自分のことを話し始めた。好きな映画、最近ハマっているゲーム、果ては子供の頃の思い出まで。彼女はただ頷くだけだった。
気づけば、僕の独り舞台になっていた。彼女の目が、画面のどこか遠くを見つめていることに気づいたとき、ようやく自分のミスに気づいた。僕は彼女の話を聞くことを忘れていた。彼女がどんな人で、どんな思いを抱いているのか、それを引き出す努力を怠っていたのだ。ウェブカムの出会いは、リアルなデート以上に「相手を観察する力」が必要だと痛感した瞬間だった。
その夜、チャットは静かに終わった。彼女からの最後のメッセージは、丁寧だけどどこか冷たい「またね」だった。画面が暗転した後、僕はしばらく動けなかった。失敗の重さが、胸にずっしりと残った。
でも、この失敗は無駄じゃないと思う。ウェブカムの出会いは、まるで暗闇の中で手探りするようなものだ。相手の表情や声のトーン、言葉の裏に隠された感情を丁寧に拾い集めることが、画面越しの「つながり」を作る鍵なんだと学んだ。次は、もっと相手のペースに合わせよう。彼女が何を伝えたいのか、どんな世界を見ているのか、それを感じ取ることに集中しようと思う。
失敗は、夜の闇と同じだ。最初はただ怖くて冷たいけど、その中を進むことで、星の光が見えてくる。このスレッドに集まるみんなも、きっとそんな星を見つけた瞬間があるはずだ。僕の話はここまでだけど、みんなの失敗談や、そこから得た気づきも聞いてみたい。ウェブカムの出会いは、いつも新しい謎を投げかけてくるよね。