夜の街を歩いていた。俺は最高の気分だった。新しいシャツ、ピシッとしたジャケット、足元には磨き上げた靴。鏡の中の俺はまるで映画の主人公みたいだった。自信が溢れてたんだ。女の子と目が合えば、軽く微笑むだけで会話が始まるはずだった。それが俺のプランだった。服装が俺の翼になるはずだった。
でも、現実は違った。バーに入った瞬間、視線が刺さる。期待してた「かっこいいね」っていう囁き声じゃなくて、なんか冷たい目。隣の席のグループがチラッと見て、クスクス笑ってる気がした。俺のシャツの襟が少しズレてたのか?ジャケットのサイズが合ってなかったのか?いや、そんなはずはない。試着したときは完璧だった。なのに、なぜか場違いな気分が押し寄せてくる。
女の子に声をかけてみようとした。カウンターに座ってた子、髪が長くてスタイルも良かった。俺のタイプだ。深呼吸して近づいた瞬間、彼女が一瞬俺を見て、すぐ目を逸らした。言葉が喉に詰まった。頭の中で「服がダサいと思われたのか?」って声がぐるぐる回る。さっきまでの自信が一瞬で崩れ落ちた。服が俺を裏切ったんだ。
帰り道、冷たい風が吹いてきて、ジャケットのボタンを閉めた。家に着いて鏡を見たら、確かに悪くないはずなのに、心の中がスカスカだった。自信ってのは服だけで作れるもんじゃないのか?それとも俺がどこかで間違えたのか?ピックアップの本には「見た目が9割」って書いてあったけど、俺の9割はどこに消えたんだろう。
今でもあの夜を思い出すと、腹が立つやら情けないやら。でも、諦めるつもりはない。次はもっと自分に合うスタイルを見つける。服に頼りすぎず、自分の中から何か引き出す方法を考えたい。あの冷たい視線を跳ね返すくらいの自信を、どうやって取り戻せばいいのか。みんなはどう思う?服装で失敗した夜から立ち直った経験、ある?