夜が深まるにつれて、画面の向こうの彼女との距離が余計に遠く感じる。チャットに言葉を並べてみるけど、いつもと同じ「ありがとう」や「可愛いね」しか出てこない。気持ちを伝えたいのに、どこかで冷めた自分がいて、指が止まる。昔読んだ恋愛指南書には「相手の心を掴むには意外性が大事」って書いてあったけど、そんな技術、今の俺には使いこなせない。彼女の笑顔が見たくて、ちょっとした冗談を投げてみる。でも、返事が遅れるたびに、俺の存在なんて彼女にとってはただの文字の羅列なのかもしれないって思う。どうすればもっと近づけるんだろう。こんな夜は、ピックアップの達人みたいな言葉よりも、ただ素直に「君に会いたい」って打ち込む方が正解なのかな。でも、そんな勇気、俺にはまだない。