春の風が気持ちいい午後だった。桜が満開で、ピンク色の花びらがふわふわと舞い落ちてくる中、公園をぶらぶら歩いてたんだ。普段はそんな気分にならないんだけど、あの日はなんか違った。自然と「誰かに話しかけてみようかな」って思っちゃってさ。
そしたら、ベンチに座ってる子が目に入った。白いワンピースに薄いカーディガン、髪は少し風に揺れてて、桜の景色にめっちゃ馴染んでた。手に持った本を読んでるみたいだったけど、時々顔を上げて花びら眺めてる姿が、なんていうか…優しい雰囲気だったんだよね。ちょっとドキッとしちゃって、でも「ここで声かけないと後悔するな」って自分を奮い立たせて近づいた。
「ねえ、桜って毎年見てるけど、今年は特別綺麗だね」って、自然に話しかけてみた。自分でもびっくりするくらい柔らかい声が出たよ。彼女、最初は少し驚いた顔してたけど、すぐに笑って「うん、本当にね。春っていいよね」って返してくれた。その笑顔がまた可愛くてさ、心臓バクバクだった。
そこから少しずつ話が弾んで、本の話とか、好きな季節の話とか、気づいたら30分くらい立ち話してた。花びらが彼女の髪に引っかかってて、「あ、ちょっと待って」ってそっと取ってあげたら、「ありがとう」って顔赤くして言われて…もう完全にやられたよ。最後には「また桜見に来る?」って誘ったら、「うん、いいね」って連絡先交換までできたんだ。
ナンパなんて普段しないし、失敗したら気まずいなって思うタイプなんだけど、あの日は桜のおかげか、彼女の優しい空気のおかげか、自然にうまくいった。春ってやっぱりすごいね。こんな出会いがあるなら、また桜の下で誰かに声かけてみようかなって思ってるよ。